キングダムオブヘブン(Kingdam of Heaven)

去年から一年来英会話を習っているという話は以前書いたと思います。その中で英語を習って西欧人とコミュケーションをするためには、その考え方や思想、文化、文明の歴史的な背景について、知っておくことは異文化コミュケーションのためには必要なことだと思い昨年来、塩野七生のローマ人の物語を読んでいます。

古代ローマが、中世のヨーロッパから現代にいたるまで残した影響というのは大きくて、キリスト教が繁栄してきた理由、ユダヤ民族の歴史、アラブ地方というのはどういう土地だったのか、現代にも深く影響を与えるところの基礎知識となるので、興味がある方は読んでみるといいかもしれません。

さて映画自体は、第3回十字軍の遠征にまつわる話となります。ストーリとしては史実に基づいたフィクションなのですが。この映画を見るにあたっては、エルサレムという場所の特殊性、何故、現代にいたるまで、いろいろな歴史的事件に登場してきたのかという背景をよく知っておいた方がよいかもしれません。

Kingdam of Heavenの舞台であるエルサレムは、現代ではイスラエルの首都となっていることは知らない人はいないでしょう。それと宗教的な側面ではユダヤ教キリスト教イスラム教、 旧約聖書におけるアブラハムの宗教としての聖地としての特殊性がまずあげられます。市内各地に各宗教の聖地が混在するという点ですね。これも一般的には知られていることでしょう。

では、何故イスラエルユダヤ人が建国したのかと、西欧、キリスト教徒およびアラブ諸国の人達からみるユダヤ人ってのはどういう人達なのってところは、歴史を知らないと理解できないことの方が多いでしょう。

古代のエルサレムユダヤ王国の首都であったのですが、ローマ帝国シリア属州として実行支配化におかれていましたが、最終的には西暦135年のユダヤ戦争によってローマ帝国によって滅ぼされ、ローマ皇帝によりユダヤ人のエルサレム居住が禁止され1947年のイスラエル建国にいたるまでのディアスポラ(民族離散)という長い放浪生活にいたることになったという背景と理由。

中世のヨーロッパ諸公とローマ教皇東方正教会十字軍(クルセイダーズ)国家としてのエルサレム王国の意味合、それに対するイスラム国家達とのかかわり等、ここは一番重要なところですね。 今にいたるまでのイスラムキリスト教国家(西欧諸国)との争いの原点はこんなところからスタートしているというところ。 

ブッシュの馬鹿がイラク戦争を語るときに十字軍きどりで話をしてアラブ諸国の反発を買ったって話もありましたね。

映画の中で、当時エルサレム王国に常駐していたテンプル騎士団なども出てくるので、赤十字がなんでアラブ諸国で嫌われた存在なのかということなのか、十字軍ってのは何だったのか、ここから中世のヨーロッパの聖杯伝説なんか出てきますね。ダ・ヴィンチ・コードの元ネタです(笑

ようするにエルサレムという場所が、それぞれの宗教、国家の立場から見ると、それぞれ違ってみえるところが、現代にいたるまでの問題として映画の中に随所織り込まれてます。単なる娯楽アクションとして、オーランド・ブルーム好きだから見るというだけでなく、そういったことも知識として入れながら見直してみるとよいかもしれません。